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スタッフ日記


by daimarunet

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光の中へ
師走に入りました。こんにちは。遠藤です。

先月の初め、辻井伸行クンが札幌の音楽ホールKitaraにやって来ました。

彼は昨年の有名な国際ピアノコンクールで、日本人として初めて優勝した人です。
生まれつきの全盲のハンデを克服した上での快挙で、奇跡と話題になりました。

過激な人気に、チケット発売も抽選で、チケットを手に入れた人はもう、それだけで
幸運な人で、私もちょっぴり幸運のおすそ分けを頂いた一人でした。

私の席はステージの真後ろ、超人気の公演でなければ開放されない所で、
彼がピアノへ向かう背中を上から見下ろす位置にありました。

ショパンからリストへ、最後はムソルグスキーの「展覧会の絵」という
30分に及ぶ大曲です。難曲中の難曲だそうです。

ブラボー!!拍手の嵐…。何度も何度も。
そして、アンコール。

彼がアンコールの曲に選んだのは、
ショパンがジョルジュサンドと過ごした
地中海のマジョルカ島に旅した時に
自ら作曲した、「風の家」と言う曲でした。

奏でられた曲の何という美しさ、清らかさ。
温かな日差しがプリズムのようにきららかに輝き、
白黄茶濃淡様々な石造りの家々が建ち並び、
そこに静かに梢を揺らして風が吹き渡る。

そんな光景が鮮やかに浮かびます。
彼の心の目で捉えた世界のあまりの美しさにただ呆然、心が熱くなります。

彼の中には多分、あふれんばかり美しい夢が満ち満ちているのです。
それを彼は私たちに、語りかけてくれます。
世界はこんなにも美しく素晴らしいのだと!
生きていればこんなにも美しいものに出会えるのだと!

何度かのアンコールにこたえて、辻井伸行クンは
kitaraの扉の方へ向かいました。
私の席からは出て行く彼の後姿がよく見えました。
kitaraのステージにはまだ光があたっています。
でも、扉の向こうはさらにまばゆい光がさしていました。
彼は出て行きました。
まるでそれは、光の中へ歩み出すようでした。


美しい夢の余韻に浸りながら、私も家路をたどりました。

ああ、哀しいかな

心に満ちた美しいピアノの調べは、いつしか
明日のお弁当はなににしようかしら
という思案に変わっていっているのでした。
by daimarunet | 2010-12-03 14:47
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